花
「…私…、
私ね…、これからも ずっと、
自分から飛び降りたり…しないよ…?」
″だから、何処かに行かないで″…そう言おうと したのだが、
和が言葉を発する前に、貴史は優しく笑って言った。
「…そう。
それは よかった 笑」
その ほっと したような、
あたたかく、綺麗な笑顔を見て、
和は次の言葉を続けられなく…なった。
その笑顔は相変わらず綺麗だったが、どこか儚くて、
貴史は本当に このまま消えてしまうのでは ないか、と思う程だった。
そんな和の気持ちを知る事など無いのだろう…
貴史は、和が黙り込んだのを見て話が終わったと思ったらしく、
そのまま帰ろうと、した。
「もし飛び降りたら、化けて出るから 笑」
最後に そう言って、
「…じゃね」
と、いつものように、何気ない調子で ひらひら と 手を振って、
教室を出て行こう とする。
「…………」
反射的に、このまま貴史を行かせては いけない、と思った。
しかし、止める術が分からなかった。
和は ただ、見送る事しか、できなかった。