白いジャージ9 ~最終章~





それから1週間後の夜11時。




直の様子がおかしくなった。





お腹が痛いと言い、何度もトイレに行った。





「それ、陣痛じゃないのか?」



「違うと思う。お腹がキューってなるんだけどすぐに痛くなくなる」



「それが陣痛じゃない?」



「そうなのかな?」






心配になり、俺は直を連れて産婦人科へ向かった。








「これは前駆陣痛と言って、陣痛の練習みたいなものなんですよ」






先生はあっさりとそう言った。





俺も直も、ホッとしたような、残念なような複雑な心境だった。





軽い検査をして、その日は帰った。






あと1週間。


いつ生まれるんだろう。





< 278 / 304 >

この作品をシェア

pagetop