シュガー&スパイス
「んー……」
アパートの前の金木犀の木からだろうか、けたたましい蝉の合唱で目を覚ました。
そっと目を開けると、窓から差し込む光のストロボが、あたしのまわりでキラキラとダンスしていた。
眩しい……。
ロールカーテンからの日差しを遮るように、顔をそむけた。
……?
見慣れないロールカーテン。
見慣れない……えええっ!!!
思わずガバッと起き上る。
目の前に、スヤスヤ眠る
ち、ち、ち千秋っっ!?
半分眠っていた頭が一気に覚醒する。
ギュッと握りしめていたブランケットをそーっと覗く。
服は、き、昨日のまま……。
お酒も飲んでないのになんで?
なんであたし、千秋の布団で寝てるのっ!?
全然思い出せないっ!
パニックになるあたしとは裏腹に、千秋はゆっくり目を開けた。
ビク!
どうしていいのかわからずに、とりあえず目が合った千秋にぎこちない笑顔を作る。
「あー……おはよ」
「お、おは、おはよう……」
ひゃ!
めちゃどもってるっ
動揺しまくりのあたし。
千秋はそんなあたしなんか気にもせず「眩し……」って顔をそむけた。