シュガー&スパイス
大通りまで出ると、タクシーを拾う。
行先を告げて、窓の外を見た。
街中、煌びやかなクリスマスムード一色。
たくさんの人で溢れ返っていて、きっとこの近くのイルミネーションを見に行くんだと思わせた。
どの人の顔も幸せで満ち満ちている。
タクシーから流れる有線も、これでもかってほどのクリスマスソング。
邦楽から洋楽まで、どこかで聴いた事のある曲ばかりだ。
「……」
時間はすでに9時を回っている。
目の前の高層ビルを見上げると、オフィスの明かりがまだたくさんついていた。
そこから視線を落として、真っ直ぐに伸びる道を見た。
えっと……たしか……。
この前来た時は、千秋が先導してくれてたから、教会までの道はうろ覚えだ。
でも、あたしは歩き出した。
あの時の記憶を辿って。