歩み
~9.体は正直者~

今でも忘れていない。
4月27日のことを。
この日、優と小林の気持ちがひとつに繋がった。
その報告を受けた時は、自分のことかのように喜んだ覚えがある。

ずっと、続くと思っていた。
続くのが当たり前だと思っていたんだ。


けどそれは単なる思い込みに過ぎなかったのかもしれない。



優と小林が付き合ったらやりたいことがあった。今日それを実行するつもり。
沙紀もその話に賛成してくれたけど行き先は教えていない。



中間テストが全て終わった放課後。
もうクラス、というか学年全員が優と小林が付き合ってると知っている。
毎日二人は仲良く一緒に帰っているから、すぐ分かることなのだけど。

自分のことではないのに、何故か嬉しいと思ってしまうんだ。



優と小林が教室から出て行くのを確認した俺は慌てて二人を引き止めた。


「ちょっと待った~!!」


行く道を防ぐ俺と沙紀。優は「何だよ?」と言って俺たちに不満を溢した。
不満なのは分かるよ。
早く小林と帰りたいもんな。


けどさ、今日だけは俺たちの我が儘を聞いてよ。



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