夫婦の始まりは一夜の過ちから。
ゴホゴホと噎せて私の背中を擦るアイドルからシャンプーの香りがしてくる。
それが自分の香りと一緒だと認識したとたんに、胸がバクバクと高鳴りだした。
「大丈夫?」
「もう、大丈夫、だからありがとう」
アイドルが私の背中から手を離すとそのままストンと私の横に腰をおろしたから、私の鼻はシャンプーの香りを掠めてるままだ。
「なあんか緊張するね。夏芽ちゃんのこんな格好見るの初めてだから、心臓バクバクいってるよ」
そう言われればホテルの時は下着しか身につけてなかったし、ちゃんとしたすっぴんを見せるのも初めて。
「俺、耐えられるかな」
「はっ、えっ?」
「あはは、夏芽ちゃん赤くなってるー。でも今日は襲わないから落ち着いて落ち着いて」