夫婦の始まりは一夜の過ちから。



「それで泣いちゃったの?」

「だって…」

「うん」

「悲しいんだもん。認めてもらえなくて」





私の頭と背中を撫でていたアイドルの手がピタリと止まり、抱き着く私の身体をはなす。


どうして?


そう思いながらアイドルの顔を見上げると、私と正反対の表情をしていた。





「なんで笑ってるわけぇ…?」

「んー。それは今が凄く幸せだからだよ」





今が凄く幸せだからなんて…


結婚を認めてもらえなくて幸せなんて、アイドルは私と結婚したくなかったのかな?





「夏芽ちゃん。ちょっと聞いてくれる?」

「聞きたくない」





怖くてアイドルの言葉が聞けない。





「聞かなくていいから見て、ね?」



< 289 / 537 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop