夫婦の始まりは一夜の過ちから。
アイドルの笑顔にドキドキながら笑顔を返す。
「夏芽ちゃん、それ反則だよ」
「反則?」
「うん。めちゃくちゃ抱き締めたくなった」
同じ気持ちだね。
私も、の意味も込めて大きく頷きまたギュッギュッと手に力を込めた。
「藤蔵さんには凄く感謝しなくちゃいけないね」
藤蔵さんがアイドルの事務所を説得してくれたから今ここに来れた。
私はその場に居なかったから詳しい事は知らないけど、アイドルから聞いた事によれば藤蔵さんがとても頑張って渋る事務所の社長さんを説得をしてくれたんだって。
「さあ、行きますか」
「ま、待って。もう少し準備時間頂戴」
「準備時間?」
「緊張がすごすぎて。だって、今からなんだよ…?」