夫婦の始まりは一夜の過ちから。



「―…さっきのテレビ見たかったのに」

「夏芽ちゃんがいけないんだよ」





ぐたりとラグの上でぜぇぜぇと肩で息をしながら、シャツに手を伸ばす壱を見れば。


シャツに隠れていく肌がほんのり汗が伝っていてきゅんと胸が鳴る。





「なに?」

「う、ううん」

「俺の身体に見蕩れてくれてたでしょ」





バレてたんだ。


そんなにガッツリ見ていたつもりはなかったのに。





「夏芽ちゃんの物だから好きなだけ見ていいよ。なんだったらもう一回脱ごうか?」

「いい!」





ケラケラと笑った壱はゆっくり立ち上がりキッチンへと消えていく。


壱と入籍したのは10月で、今は来週クリスマスを控えた12月。


あの日からそんなにも月日が流れている。



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