泣いていたのは、僕だった。
「今回はちゃんとした仕事っぽいな!」
「いつもちゃんとした仕事だからね。」
呆れたように言う真司の手元から資料を奪い取る。
「うわ……17人連続殺人か。こりゃ救いようがないな。げっ……しかも女じゃん」
「犯罪者に男も女もないでしょ。」
「そーだけどよ。何か嫌じゃん?」
乃南 加代子(ノナミ カヨコ)、29歳。
無職、独身。
ふと思った。
きっとコイツも苦労してきたんだろうな。
けど、そんなこと考え出したらキリがないから、考えないことにした。
「今回は俺らでやる?久々に二人でよ!」
「うん。いーよ。」
「っと、その前にゲーム、ゲーム」
一時停止していたゲームを再開する。
「それ、ここ最近ずっとやってるでしょ?よく飽きないね。」
「飽きねーよ。だって楽しいもん。」
「………いくら楽しくても、ゲームはいずれ飽きる。」
「?」
呟いた真司を振り返ったけど、その表情は読めなかった。