泣いていたのは、僕だった。





真司の体には左肩と腹部に撃たれた痕。
幸い弾は貫通していた。



「おい、大丈夫なのかよ?」


一通り手当の終えた後、傍らに立っていた隆が尋ねてくる。


「止血はしました。ただ、血を流しすぎたみたいですね。意識が戻るには時間がかかります。」
「そうか……」
「翔一、アナタは怪我はないですか?」



横たわる真司を見つめたまま、翔一は固まっていた。


「翔一?」
「……え?」


肩を揺すると意識を取り戻したように僕を見た。


「ごめん、なに?」
「……怪我はないですか?」
「俺は平気。全部真司の血だから……」


真司を運んだときに付いただろう血痕が、翔一の服を染めていた。


「真司、大丈夫だよな?死なないよな?」
「とりあえずは大丈夫だと思います。」
「………俺のせいだ。真司一人ならこんな怪我しなくて済んだのに。俺が油断したから」
「その話はあとでゆっくり聞きます。その前にお腹空きませんか?今日はオムライスにしたんです。」


いつもなら目を輝かせて喜ぶのに、翔一は首を横に振った。



「いい……いらない。」
「翔一………」



目に見えて落胆する様子に何て声をかければいいのだろう?


「今まで……真司がこんなに弱ったとこ見たことねーんだ。どうしよう……俺、どうしたらいいんだろ?」



確かに真司は人に弱みを見せるのを極端に嫌がる。
数ヶ月しか一緒にいない僕らでもそう感じるんだから、実際そうなのだ。

だからこそ翔一の動揺も激しい。



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