あの二人に敬意を払おう



 刹那。
 二筋の閃光が激突した。
 群青の閃光と紅蓮の閃光。
 光の尾を引いた激突が従えるは、暴風と轟音。


 灰と化した大地。
 石灰色の瓦礫の山が、果ての無い地平線に散りばめられている。
 閃光を纏う二人の《異形》がもたらした崩壊だ。


 轟音に震える大気。
 澄み渡った青のソレは、つい先程まで《青空》と呼ばれていた。


 現在。
 雲一つ無い空間に走る亀裂。
 風化した壁のごとく剥がれ落ちていく青のドーム。
 そこから新しく現れたのは、赤土色の濁った空間。


 ――世界崩壊の瞬間である。


「スペリシア! 貴様、《忌み姫》をどこに隠した!」

「それは私のセリフです、ベベリギア。おとなしく差し出せば今は見逃しましょう」

「ほざけっ」


 数秒の接触――否、激突。
 紅蓮と群青。
 そこに幾数かの小さな爆発が生まれ、巻き込まれた大地は隕石を受けたような陥没が穿たれている。


 閃光が――弾けた。
 二つの攻撃の間に生じた爆風。
 斥力に従い、二つの異形、二つの閃光、二つの暴君は、一定の距離を挟んで別離。その活動を中断した。


 露わになる、二つの人影。


 燃え上がるような紅蓮の光を纏う男と、澄み渡る群青の光が足元から腰周りで渦を巻く女。
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