妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
夜の月に従う者


 次の日の朝。

 緋音の部屋のドアがノックされる。

「はいは~い。誰~?」

 ベッドで横になり、雑誌を読みながら返事する。

「お姉ちゃん、あたし」

 カチャっとドアを開けると、そこにいたのはテディベアを片手に持つ小学三年の妹。

「マナ? 珍しいね、どうしたの?」

 テディベアのポケットから一枚のカードを取り出し、緋音はビクついた。

「崩壊の…塔」

「遥さんに伝えて。二つの月の使者がやってきてるから、気をつけてって…」

 その言葉に冷や汗を流し、緋音はカードを手に取った。














 本堂家の朝はというと…。

「滅却煉火っ!」


 朱雀の業火に、龍二が焼け焦げていた。

 またも飽きもせず龍二が遥のベッドに潜り込んだようで、遥は荒い息を上げていた。

「いい加減にしやがれっ! 自分の部屋があんだからそこで寝ろっ!」

「アチチッ。だって一人じゃ寒ぃ~し、遥だって寂しいだろ?」

 ポンポンと焦げた服を払いながら言うと、今度は掌にパリパリと雷を生み出す。

 
< 53 / 83 >

この作品をシェア

pagetop