青春と幼なじみ
【南】
何なんだ、葉月の奴。
俺がいると葵が逃げるから来るなって…。
確かに最近俺は、葵に避けられてる気がする…。
というか、避けられてる。
…何でだ?
俺、葵に何かしたか?
―『南に触られるとドキドキする』―
…あれと何か関係あんのか…?
「…南くん」
「あ?」
さっきまで隣を黙って歩いていた琉衣が声をかけてきた。
「あおちゃん、どうしたんだろうね…。
この頃様子が変だけど…」
「さぁなー。
どうしたのなんて、こっちが聞きてぇーよ…」
「そっか…。
ねぇ、南くんは好きな人いる?」
……は?
ピタッと足を止める。
すると琉衣も足を止めた。
「南くん?」
「な…何だよ、いきなり…」
「え?
いや、ただいるのかなって思っただけで…」
「……いる」
「そうなんだ」
「…お前は?」
「私?
いるよ」
笑顔で答える琉衣は、何故かイキイキしてるように見えた。
「ふ〜ん。
幸せそうだな」
「うん、幸せだよ。
だって、また逢えると思わなかったから…」
また…?
「相手はこっちの町の奴なのか?」
「え、あ…うん」
照れくさそうにうなずく。
へぇ、再会かー。
何かいいな、そうゆうの。
「ま、がんばれよ」
「うん!
ありがとう。
南くんも頑張って!」
「どうも」
琉衣、好きな奴いたのか…。
って、何で俺たちこんな恋愛話なんかしてんだ!?
……あいつにも、好きな奴とかいんのかな……。
空を見上げ、小さく息をはいた。