御劔 光の風2
「嘘をつくな。」

入口の方から声が聞こえ、二人は同時に顔を向ける。

すると部屋の主であるカルサが呆れた顔で立っていた。

「…嘘じゃありませんよ。」

「お前のどこがおとなしいんだ、ナータック?」

突然の国王の登場に女官は息を飲んで頭を下げた。

納得いかないため息をつきながらカルサは机に向かって歩き出す。

カルサが目の前を通ったことを確認すると、女官は急いで後片付けを始めた。

幸いに掃除は既に終わっている。

「そのままでいい。」

道具をまとめ、窓を閉めようと手を伸ばしたところで声がかかった。

「窓は開いたままでいい。」

既に執務を始めていたカルサは手元から視線を動かさずに続けた。

「かしこまりました。」

戸惑いながらも女官は一礼をする。

目があったナータックに微笑まれて、彼女はもう一度頭を下げた。

「失礼致します。」

穏やかな声と共に女官は部屋から出ていった。


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