御劔 光の風2
緑は瑞々しく、色とりどりの花たちが鮮やかに咲き誇っていた。

なんと生き生きとした庭なのだろう、リュナは自然と笑みをこぼす。

しかしカルサはやはり感情の見えない表情のままだった。

総本山にある宮殿。

ここに世界中に散らばる御劔たちをまとめる人物、守麗王(しゅれいおう)がいる。

まだ見ぬ王との対面にリュナの鼓動は少しずつ速くなっていった。

案内役として現れた守麗王の側近、沙更陣の後に続いて宮殿内を進んでいく。

庭にも緑が豊富で、常に水が側に流れるような造りになっていた。

まるでリュナを癒すような安らぐ音が耳に心地いい。

「きれい。」

感動の声がリュナから何度となく漏れる。

笑顔のリュナを見てカルサは微笑んだ。

「綺麗ね。」

「そうだな。」

カルサの視線に気付いたリュナは嬉しそうに笑った。

同意の声は発したものの、彼の目は景色など素通りしている。


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