叶多とあたし




「ここに、さっき知り合いから貰った二枚の遊園地のチケットがあります」





「うん……?」






「それでね、今日、卒業式の帰り道に叶多さんに会ったことを思い出したの。で、私思い付いちゃったのよ!!」






うわ……。




悪い予感しかしねぇ………。





「日芽と叶多さんに使ってもらおうって!…………あのことがあって 以来、二人はまともに話してないんでしょ?なら、これって色々とチャンスじゃない?」







そんなことで二人の仲が直るのなら、そもそもこんなことにはなっていなかっただろう。






「絶対行かないと思う。特に日芽」






「バカね。ただあげるだけじゃないわよ。ちょっとネタを仕込むの」





ネタ………??






「例えば…そう、私たちも行くことにしておくの。強制参加って言ってね。日芽は強制参加に弱いじゃない?よっぽどの予定がないかぎり来るわね」






なるほど。




でも、これだけじゃだめだ。





「結局は当日バレるよ。日芽はそれがわかった時点で間違いなく帰る」







「そこは大丈夫!明日ね、そこの遊園地何かの記念日らしくって全予約制になるの。それで、アトラクション全部無料。でもその代わり、一回入ったら閉園まで外には出られないシステムなのよ」






なんて、無茶苦茶な……。




だが、今の俺たちには
なんて都合の良い……。






「だから、今日の夕食は叶多さんも呼んでね!」







『も』!?







「…で、ついでに私たちもお邪魔しまーす☆」









はい…。



わかりましたよ…。








「じゃあ、まずは夕飯の食材を買いに行かないとな…」






彼哉は呟いた。






< 23 / 67 >

この作品をシェア

pagetop