叶多とあたし


「ん?泣いてるの?あはははははははは。悲しい?それとも……」


短髪男は、そこで満面の笑みを作った。


「悔しい……??」



首を傾げて笑う短髪男に湧くこの感情は、怒りだ。




ガンガンッ



大きな音が二回。


あたしが立て掛けてあった鉄の板を蹴ったことで鉄の板が倒れてきたからだ。




「ってぇ………てめぇ…」



鉄の板は短髪男を直撃した。


暫く痛みでうずくまっていたが、起きあがると今までにない低い声であたしを睨んだ。




「ざけんなよ」



呟くと、


「やっ…」



あたしの頭を鷲掴みにした。



短髪男の右手ではハサミが光る。



スローモーションでハサミが迫ってきた。


心臓は破裂しそうなぐらい大きくなって、身体は震えた。






やめて………。




やだ………………。















やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだーーー……




やめてーーー
















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