【E】指切りの約束【完】
「ここにいるよ」
不安と諦めの中間点をうろついて
高校生になった私の耳を通り
脳内に響き渡る
キミの声
「…え……?」
「ここにいるよ」
「……嘘、」
「嘘なわけないだろ?」
男は嘘つかねーよ、女じゃねーんだから。
いつかキミが浮かべた軽い笑みで、手を差し伸べられる
いや、小指を突き出された
「忘れてないよな?」
「……篠、倉」
「弘樹」
目頭が熱を帯びると
瞬間、水中で目を開けたみたいな感覚
ああなんだか
私 泣いてる
「ひろ……っ」
「…ごめん。泣かせない、って約束したのに」