未来へのボール*WINTER*

Ⅴ 開いた瞼


〔side羅琉〕


「ここで考えられる筆者の意見はー。」

お。


「先ず前の段落から読み取ってだなー。」

あ、おしいっ。


「で、そうすると

重要な箇所が3箇所見つかる訳だ。」

あー、そっちじゃなくて。


「で、その3箇所だが…。」

そうそう、そっちそっち。


「橘。何処の文だと思う?」

お、おぉっ。


「おーい、橘ーっ。」

ゴールっ。おめでとーう。


「橘っ‼︎」


「え?」

あれ、呼ばれた?


教卓の方を見ると、

現代文教師と目がバッチリ合った。

あ、コレ、やばい。

指されちゃった感じだ。


「おーい。大丈夫か橘。」


「あっ……と。」

聞いてませんでしたって言うべき?

校庭でやってるサッカー見てましたー…

みたいな。………駄目か。


ミツに聞こうにもミツ、

席替えしてから席遠いんだよねぇ…。


あーもー。


「すみません…き…。」

正直に言おうとした時。


「気分悪いのか?

保健室行っても良いぞ?」

…………。


「………あ、すみません…。」

…何この先生、凄く良い人。


《ガタッ》

お言葉に甘えて…保健室に行こう。




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