紅蓮の鬼


ワタシは御嶋学園高等部の職員室にいる。


普通より早めに登校して、現在午前七時五十三分。


担任に退学届を見せたらこの通りだ。


「何で?」


注目を浴びて小さく担任が言った。


「実は家族が増えることになって、ウチはビンボーだからワタシが働かないと家族が生きていけないんです」


ワタシはわざと大きな身ぶり手振りをする。


やりすぎだろうが、まぁ、これくらいがちょうどいいだろう。


しかし、我ながら見苦しい狂言だ。




< 154 / 656 >

この作品をシェア

pagetop