紅蓮の鬼
ワタシは御嶋学園高等部の職員室にいる。
普通より早めに登校して、現在午前七時五十三分。
担任に退学届を見せたらこの通りだ。
「何で?」
注目を浴びて小さく担任が言った。
「実は家族が増えることになって、ウチはビンボーだからワタシが働かないと家族が生きていけないんです」
ワタシはわざと大きな身ぶり手振りをする。
やりすぎだろうが、まぁ、これくらいがちょうどいいだろう。
しかし、我ながら見苦しい狂言だ。