紅蓮の鬼



千秋が寝息をたて始めた頃、ワタシは洞窟から少し離れた、ここの山々が一望できる場所に来ていた。


座って、月を見る。


雲がかかってない、三日月だった。


今日の月は何故かやけに綺麗だ。


「で、どうよ調子は」


楓太がワタシに声をかけた。


「どうもこうも、千秋の潜在能力について何一つ得られてない」


楓太はワタシと背中合わせになるように座る。


少し背中がひんやりとした。


「…………」


ワタシはため息をつく。


「そっか」


そう言い、楓太はワタシに体重をかけた。


楓太が疲れきった時のように「ふーっ…」と長い息を吐いた。


「……」


「……」


それから続く、沈黙。







< 223 / 656 >

この作品をシェア

pagetop