紅蓮の鬼





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「結局、行くんだ」


門の外で、空木は口を尖らせた。


「言ったはずだ、こうでもせんとこいつは護れん」


ワタシは千秋を見る。


「え…竜胆が長じゃなくなったのって俺のせい!!?」


千秋が焦り出した。


「自惚れるなよ」


ワタシは彼に釘を刺す。


「お前を護ってまでこうするのは、梔子からの頼みだからだ」


仕事なら最後までせねばあるまい。


あくまで仕事なら、の話だ。


仕事だからここまでするのだ。


仕事でなければこんな面倒なこと、やっとられん。


「それ以上言うな……口から全部言ってっから…」


千秋がやつれたような表情で言った。









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