紅蓮の鬼
「!」
ふと、火薬の匂いがした。
「外に出るぞ!火薬の匂いがする!」
そのことをポーン姉さんにも聞こえるように言い、俺は腰が抜けて動けなくなっているイヴァルを抱えて会場を出る。
――重っ
飛んだり、走ったりして俺らは1kmくらい離れたところで足を止めた。
「ここまで来りゃいーだろ」
と、俺が言った途端に宮殿が光り、爆発音がした。
「エェ―――……」
――宮殿無くなっちゃったよ
お城無くなっちゃったよ。
「お水いなかったらアタシ死んでたわ…」
げんなりしたようなポーン姉さんの声音だった。
「……プギュ…」
それに同意するようにイヴァルが言っ……。
――……プギュ?
俺は不思議に思って、抱えているイヴァルを見る。
「あぁぁあしまった!これ子豚だ!イヴァルじゃねぇ!何で!!?」
「アンタ妙なとこでマヌケね」
ポーン姉さんが「てか、子豚どっから取ってきたのよ」と呆れたような口調で言っていた。
「いや、いつから変わってた!!?」