紅蓮の鬼


「……ちっ」


あ、空木が舌打ちした。


鴉の報告によると、あの里がヘリから銃撃を受けたらしい。


ウルフ族で武器はあまり使わないけれど、何故か銃のことに詳しいポーン姉さんが銃の標的になりやすい条件を教えた。


で、そこにいる彼らはヘリに反撃しつつ、散ったらしい。


だから今、里に戻っても誰もいないんだって。


――マジかよっ


戻っても蛻の殻じゃんかっ。


戻る意味!!!


って、あ。


俺はあることに気づく。


「空木!」


「分かってる!」


空木はそう言ってスピードを上げて行った。


――ワオ


まだ何にも言ってねえのに。


これぞ以心伝心。





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