紅蓮の鬼


「ここが本拠地な」


楓太が地面に絵を描く。


ワタシ達は今、作戦を練っている。


「で、ここが俺らが今いるとこ」


少し離れた場所に石を置く。


「こっからこうやってドバーッて色んなモンが出てくると思うから、とりあえずここを潰さないと――」


楓太が熱弁する。


「いや、駄目だって。主力はこっちの方が――」


空木が楓太の作戦に反論した。


「いやいや違う違う、こうだってば」


楓太が眉根を寄せる。


「そしたらこっちは?」


「…………………」


楓太が「考えてなかった…」というように黙った。


「…………………」


「…………………」


「…………………」


沈黙が、続く。


「……そうか…」


ワタシは地べたに書かれた絵を見て、ワタシはポツリと呟く。


――何故もっと早く気づかなかったんだろう


フゥ…と目を伏せた。


「淋?」


空木が不思議そうにワタシを覗き込む。


「大丈夫だ。さっきのは楓太の考え方でいい」


ワタシは地べたにしるす。


「で、ここは空木が言ったことをする」


「「あ~」」


二人の声が、納得したように重なった。




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