紅蓮の鬼


その声は、徐々に大きくなることもなく、突風を伴って、ワタシの目の前で大声を出す。


「銀鬼の花桂樹さまより、お預かりいたしましたッッ!!!」


土煙が舞い上がっている為、声の主は見えない。


おそらく、伝聞係の小鬼だろう。


小鬼は足が速く、伝令や伝聞、伝達するのに適している、いわば郵便局員みたいな者だ。


「では、私は失礼いたしますッッ!!!」


小鬼はワタシに手紙のようなものを手に握らせて、風のように次の仕事へと行ってしまった。



< 97 / 656 >

この作品をシェア

pagetop