夢、戯れ





「瀧、さん」



震える声、情けないな。邪魔したいわけじゃないのに




振り向かず、でもただひたすらに、彼の声が聞きたくて仕方ないのだ






『…どうしましたか?』


かちり、時計の針が小さく鳴る。


彼の低い、心地よい声が混じって、それで闇に溶けそう






「いや、何でもないです」


『そう、ですか』



振り向かない振り向かない、振り向けない



掠れた声が、私の胸を揺さぶった





彼と、私の間には、何も、ない







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