危険な瞳に恋してる
 学校を辞める……

 先生じゃなくなる……!!

 紫音のその言葉に、血の気が一気に引いた。

 わたしのせいで……!!!!


 悲しくて。

 申し訳なくて。

 アレックスを飲んだ時よりも、何倍もひどい震えが、来た。

「ごめ………っ!」

「いいんだ……大丈夫……」

 本格的に泣き出しそうになったわたしを。

 紫音は、ふわりと抱きしめた。

「前にも言ったろう?
 オレは、もともと『教師』にウェイトをそんなに置いていなかった、って。
 ……守屋のコトが無かったとしても……
 遠からずバレて、辞めるコトになっていたんだ……
 それこそ……限界だったんだ」



 紫音が、わたしを抱きしめる。




 手が。





 心が暖かい……。




 ……紫音……





 優しい……紫音……





 いくら、二つの顔を持つことに、限界を感じていたとしても。






 昼間の……教師の顔を無くす……ということは……





 ……ホスト一本で生きていくってコトは……





 紫音は……これから……






 二度と陽のあたるコトのない……夜の……闇の……世界で生きる、ということだった。

 
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