ヒロシ君へのlove letter【短編】
「…ほら。」

俺はヒロシの下駄箱の目の前で止まった。

あの子は大きく息を吸い込んだ。

下駄箱を開けて、ラブレターを入れた。

「…出来たじゃん。」

「…はいっ!あの、ありがとうございました。」

彼女の頑張りを見届けることが出来てよかった。

「じゃあな。」

俺はさっさと靴を履き替えて、玄関を出た。

もう…これ以上は無理だ。

いい人ぶるのは…思った以上に辛かった。

でも…あの子が幸せになってくれればいい。

俺は心からそう思えるように、頑張っていくしかないだろう。

失恋には新しい恋が一番…だよな。

「…俺もいい人探すか。」

俺は秋の夜空を見上げて、ボソッと呟いた。

泣いてしまったのは…俺だけの秘密だ。
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