アンサツシャ


店員「お疲れ様! またね恋華ちゃん」



恋華「うん、またね! お疲れ様ー」



 バイトが終わり、他の店員に手を振り店を出た恋華は、バス停に向かった。

 バイト先は家から車で十五分ぐらいの距離だ。

 冷たい夜風に、コートのポケットに手を入れて寒さを凌ぎながら、ポツポツとある街灯が照らす薄暗い歩道を恋華は歩く。



 バス停に着いた恋華は、時刻表の横に立つ。
 交通量も少なく、誰もいないバス停で恋華はボーッとしながらバスを待っていた。



(しかし思いきった事しちゃったなー)



 今日、レインが買って行ったハンバーガーの袋の中に、自分のメールアドレスと電話番号をレシートに書いて入れていたからだ。



(見たらどう思うかな?
レインさんの事だからやっぱり捨てちゃうのかな?)


 考えれば考えるほど不安と、そうしたことによる後悔の気持ちになったが、なぜか少しドキドキしていた。



運転手「お客さん! お客さん!」



恋華「……え? あ、はい!」



 その時、正面から声が聞こえ、恋華はハッと我にかえる。
 ビックリして前を見ると、いつの間にかもうバスが目の前に止まっていた。



運転手「はいじゃないよ、乗るの乗らないの?」



 バスの運転手が、ボーッとしている恋華にマイクで話しかけていたのだった。


恋華「あ、乗る! 乗ります!」



 恋華は急いでバスに乗った。

 乗客の視線が集中する中、恋華は恥ずかしそうに下を向き席に向かった。



「恋華ー」



 その時、後ろの座席の方から名前を呼ぶ声が聞こえ振り返ると、友達のアリスが乗っていた。
< 54 / 54 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop