Raindrop~Mikoto side
とりあえず、固い床の上に転がしておくのは申し訳ないので、ベッドまで運ぼうと思ったのだけれども、全然持ち上げられない。

仕方ないので、ソファの下に敷いているラグの上になんとか上げて、頭の下に枕を入れ、体に布団を被せた。

そうして傍らに座り込んで、はーっと息を吐き出す。

細くて軽そうなのに、結構重い。

少し動かすだけでも重労働だ。

だけど、そういえば、和音くんは私をここまで抱っこしてきてくれたことがあった。

この細い体のどこにそんな力が。

……男の子だから?

「そっか、私よりも力、あるわよね……」

思ったよりもずっと力があって、思ったよりもずっと広い背中で。

思ったよりもずっと、情熱的──。

「う、うう……」

艶のある唇に目をやり、頭が瞬間的に沸騰した。

あんな……あんなキスをするなんて。

絶対初めてじゃない。この子ったら……この子ったら、こんな清純そうな顔をして!

< 201 / 251 >

この作品をシェア

pagetop