Raindrop~Mikoto side
もう思い出せないくらい昔の風景。
それが何故、今浮かんできたのか。
──それはブラームスのせいだった。
『日曜日』は、私が良く父に聴かせていた曲。
『水琴は上手だな』と、微笑みながら褒めてもらった、思い出の曲だった。
私がヴァイオリニストを目指すきっかけとなったあの言葉を、父は覚えてはいないだろう。
けれど私も。
すべてを覚えているわけではなかった。
それはあまりにも遠い過去の風景だった。
顔合わせの後、帰り際に律花さんに呼び止められる。
「水琴ちゃん、どうかしら。教えられそう? 下の子2人はまだ子どもだから素直だし、上の子も大人しいから、言うことに逆らったりしないから。変に大人びてて時々子どもらしくないことも言うけれど、みんな良い子達なのよ」
私が少し不安そうな顔をしていたせいか、律花さんは断られるかもしれないと思ったのかもしれない。
懸命にそう言ってくるので、思わず笑みが漏れた。
「こちらからお願いしたいくらいです。宜しくお願いします、律花さん」
『日曜日』のせいか、橘家の雰囲気のせいか。
なんだか少し、優しい気分になっていた。
それが何故、今浮かんできたのか。
──それはブラームスのせいだった。
『日曜日』は、私が良く父に聴かせていた曲。
『水琴は上手だな』と、微笑みながら褒めてもらった、思い出の曲だった。
私がヴァイオリニストを目指すきっかけとなったあの言葉を、父は覚えてはいないだろう。
けれど私も。
すべてを覚えているわけではなかった。
それはあまりにも遠い過去の風景だった。
顔合わせの後、帰り際に律花さんに呼び止められる。
「水琴ちゃん、どうかしら。教えられそう? 下の子2人はまだ子どもだから素直だし、上の子も大人しいから、言うことに逆らったりしないから。変に大人びてて時々子どもらしくないことも言うけれど、みんな良い子達なのよ」
私が少し不安そうな顔をしていたせいか、律花さんは断られるかもしれないと思ったのかもしれない。
懸命にそう言ってくるので、思わず笑みが漏れた。
「こちらからお願いしたいくらいです。宜しくお願いします、律花さん」
『日曜日』のせいか、橘家の雰囲気のせいか。
なんだか少し、優しい気分になっていた。