ケータイ小説 『肌』 著:マサキ

教習指導員になれたあかつきには、生徒達に「~かもしれない運転」の大事さを伝えるつもりだ。

あの死角から、人が飛び出してくるかもしれない。

歩道を歩く幼児の列から、子供が急に飛び出してくるかもしれない。


長い運転手生活の中、運転に慣れると、つい「このくらい大丈夫だろう」と、「~だろう運転」になってしまう人がほとんどだ。


免許を取るため自動車学校に通った時、私も、先生達に散々教えてもらった「~かもしれない運転」の大切さ。

『運転席に座ったら、まず、私のために、私の大切な人のために、周りの人々のために、必ず安全な運転をする』

自分にそう言い聞かせてからエンジンをかけるよう、毎回指示されていた。

当時の私は、授業中のこととはいえ、それを口にするのが恥ずかしく、毎回小声で言うのがやっとだったけど、あれは、すごく大切なことだったんだ……。


歩行者側の立場でも、同じこと。

左右を確認し、安全を確認してから道を渡る。


正しいこと、当たり前のことが、だんだんできなくなるのも人間。

こればかりは、どうしようもないこと。

伝えたいと願う私が、根気よく周りに訴え続けていくしかない。

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