ケータイ小説 『肌』 著:マサキ

アサミと会う時間まで寝ようと思ったけど、結局私は眠れなかった。

マサキの書いたケータイ小説の続きが気になって……。


私と別れた理由や、別れる前マサキが私と音信不通にした理由が書いてあるかもしれない。

そう期待して、半分以上読み進めてみたけど、大学をやめるまでの経緯が書いてあるだけで、私と別れた原因までは明確に書かれていない。


ただ、ひとつ気になったのは、たびたび出てくる、マサキのこんな言葉だった。

《俺は、男であって男ではない。

恋愛する資格もない。

特別な気持ちで女性を愛してはいけない人間なのだ。》

どうしてマサキは、こんなにも自分を責めているんだろう……?

どれだけ読み進めても、それだけは分からなかった。


私が、知らず知らずのうちに、ここまでマサキを追い詰めていたの……?

付き合ってた頃、マサキを傷つけることを言ったのかもしれない。

私にとってはささいなことでも、マサキにとっては絶望におちいるような発言をしてしまったのかもしれない……。


ただでさえ私は共感力の低いタイプだし、無意識のうちにマサキを傷つけていた可能性は、充分ありうる。

< 92 / 187 >

この作品をシェア

pagetop