seven kisses
先輩はニッコリ微笑むと、手を振りながら去って行った。

その姿に、少しだけ心がときめく。

だけど、背中に視線を感じて振り向くと、不機嫌そうな陽佑の顔がある。



「何か嬉しそうだね。」

「仕事褒めてもらったら、嬉しいに決まってるでしょ?」

「そうじゃなくて。俺、あの人、見たことある。」

「うそ? 何処で?」

「こないだ会社の前で待ち合わせした時。一緒にエレベーターから出てくるのが見えた。」

「ふ〜ん。そりゃ、同じ課だからね。」

「あの人、ニコニコしながら、実乃里の頭ポンポンしてた。」

「え? そんなこと、あったっけ?」

「前に、俺と付き合う前に憧れてた先輩がいるって言ってたじゃん? 何となくだけどさ、こいつかなって思ってた。」

「.......。」

「違う?」

「それは.......。」

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