seven kisses
土手のてっぺんまで登ったところで、後ろから駆け登ってくる誰かに、腕を掴まれた。



え? 敬志?

振り返るよりも早く、私は敬志に背中から抱え込まれていた。



「どこ行くんだよ。まだ試合終わってないぞ。」

「どこも行かないよ。気分を変えて、高い所から見ようとしただけ。」

「ほんと?帰ろうとしてない?」

「今日、敬志のお誕生日だよ。そんなこと、する訳ない。」

「ほんとに?」

「うん。勝手に帰ったりしない。」

「あぁ、良かった~! さっき、マネージャーに連れて行かれるの見えたから、誤解してるのかと思った。」

「大丈夫だよ。」

「ゴメン。言う必要ないかと思って何も言ってなかったけど、あの子になんか言われた?」

「うん。.......ちょっと驚いたけど、敬志を信じてるから。」

「.....ありがとう。」
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