Devoted Love
第一章


「え・・・?」


私は濡れた髪を拭く手を止めた。


「だから、好きなやつとか居ないのか、って。」



パソコンの画面に映る、何かのアニメのキャラクターをじっと見つめて私は言葉を選んでいた。



「いないよー!なんで?あっ、好きな人でも出来たんでしょー?」


こういう、探り合う感じは嫌いではない。
でも私が知っている”あの感じ”とは違った。


「うん、そう・・・。」


なら、最初から自分で「好きな人が出来た」って言えばいいのに。
なんとなく気付いてた私は、なんなんだろ・・・。



「ふーん。高橋さんでしょ。」


「正解。なんで分かったの?」


ほらね、女の勘ってこういう時に働くの。
自分にとって不利益な事ってなんとなく気付いちゃうんだよ。


私は髪の毛を拭く手をまた、動かし始めた。




「見てれば分かりますよ。」



装う。
今までの私。
今までの関係。


もう、戻れない。








< 2 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop