君の隣で
手紙


「橘センパイ!」


私の幼馴染、橘 璃紅(たちばな りく)はモテる。
・・・憎たらしいほどに

「ゴメン、今急いでるから」

それだけ言って私の手を握りスタスタ歩く

「もう、そんな言い方しなくてもいいじゃん。かわいそうだよ」

私なんか告白されたことなど一度もない

「それより小春のお母さんが早く帰ってこいっていってたよ」
「・・・最悪」

今日は朝からずーっと運動会練習で走り回っていたから足の疲労度が凄い事になっている

「カバン持ってあげる」

璃紅が手を差し出した。
私は璃紅の顔を覗った

ドキン

まだ、慣れない・・・璃紅は本当に綺麗な顔してるなぁ
黒と茶色の入り混じった少し長いサラサラの髪に白くキメ細かい肌。
柔らかそうな唇、何よりもこの透き通った茶色い瞳。

その綺麗な顔が私を見て笑いかけた

・・・もう少し、不細工でも良かったのに。

「いい、自分で持つ」

璃紅は絶対私の恋愛対象には入らない
そんな事言ったら、願い下げっていわれると思う。
だから私も璃紅の恋愛対象には入れない

そう思うと少し寂しくなる


―――

ガチャ

「お母さんただいま~何ー?」
「何って?」
「早く帰って来いっていってたらしいけど。」
「そんなのいったかしら?」

・・・人をこんなに急がせて忘れたとは。

「それよりおじいちゃんから手紙」

手渡された手紙に 知十世 小春殿 とぶっきらぼうな字で書かれていた
それを見て愛着を湧かす。

「早く読んじゃいなさい」

おじいちゃんからの手紙は久しぶりだ。

「はーい」

足の疲労が一気に回復した
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