「1/4の奇跡」左側の君に【完】
私は携帯を机の上に置いて、
また、拓人の隣に座った。
「莉子は男の子のママか・・・
もう、あと2ヶ月もしないで生まれてくるんだもんね。
楽しみだな・・・」
私は拓人の肩にもたれた。
「でもその頃には拓人、一人暮らししているんだよね・・・」
「そうだな・・・」
「なかなか会えなくなるね・・・」
「そんなことないよ。
俺んちがある駅から、新幹線2種類乗って2時間半ぐらいだよ。
花音の家からだと・・・3時間半ぐらいか」
私は隣から拓人を抱きしめた。
「遠いよ・・・
でも、
さみしいけど・・・応援する」
「住むとこ決まったら教えるから、いつでも来いよ。
俺もなるべく会いに行くようにするから」
拓人が優しく私の頭を撫で、そっと肩を押して、
私の顔を見た。
拓人は顔を少しずつ斜めに倒しながら、
私の顔に近づいてきた。
その視線の先は、私の唇で、
徐々に目を閉じていく拓人の色っぽい表情に、
痛みが走るぐらい胸がきゅんとして・・・
私もぎゅっと目を閉じた。