「1/4の奇跡」左側の君に【完】
私はこらえきれずに、
口を抑えた。
隣との席の間に、壁があってよかったと思った。
私は涙があふれ出してしまい、
両手で顔を覆った。
詩織がいつのまにか隣に座っていて、
私の頭を撫でてくれた。
「涙出し切ってからでいいよ。
大丈夫、誰も見てないから」
そう言われても、私は泣き止みたかった。
もう、拓人のことで泣きたくなかった。
「ごめんね・・・詩織」
「謝るな。なにも悪いことしてない」
詩織は私の背中をさすった。
明るく言いたかったのに、
今はまだ、泣きながらでしか伝えられない自分が、
弱すぎて・・・
「私ね・・・終わっちゃったの。
拓人と、終わっちゃったの・・・」
私はそれから、拓人と別れたことを、
少しずつ話し始めた。