「1/4の奇跡」左側の君に【完】




和泉が教室を出たと同時に、担任が教室に入ってきて、

授業が始まってしまった。



・・・体調悪いのかな。





授業中、何度も空っぽの隣の席を見ては、

心配になっている自分がいた。



またもや全く身の入らない授業を受け、

休み時間のチャイムが鳴るとすぐに、

保健室へとダッシュしていた。








「失礼します・・」



小さな声で言いながら扉を開けると、

保健室の先生が机に向かっていた。


「どうしたの?」


先生はメガネの縁の上から私を見た。


お母さんと同じ年ぐらいの先生。


私は先生の机のそばまでいき、

すぐそばに置いてあった、丸椅子に腰掛け


先生と向き合った。



「先生・・和泉・・いる?」




先生はカーテンで囲まれたベッドを指差した。



「そこで寝ているわよ」




「どっか具合悪いの?」



私はさらに小さな声で先生に聞いた。




「少し頭が痛いみたいね。


和泉くん、時々あるのよ。


でもちゃんとお医者さんにかかっているみたいだし、

しばらく寝ていると治るみたいだから。


大丈夫よ。


心配?」




先生はちょっとにニヤッとした。



「・・・うん」



私が頷くと、先生は立ち上がった。



「二人きりにしてあげようか?」






< 29 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop