「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「交代交代!和泉と葉月さんお疲れ!」
暗幕の間から、フランケンシュタインと、
怪物くん?が出てきた。
・・・これは完全にウケ狙いだ・・そう思った。
着替えてこようと、教室から出ると、
あまりのまぶしさに目を細めた。
あれ・・・拓人は・・・
右目の包帯を外して周りを見渡すと、
もう拓人はいなかった。
そのかわり、自分の姿をじろじろと見ている人たちがたくさんいた。
恥ずかしすぎる・・・
私は更衣室へとダッシュした。
制服に着替えて、メイクと髪を直して、
莉子に電話をした。
「あ。莉子?今終わったんだけど、
莉子一緒に回れそう?」
【ああ・・ごめん今無理・・ていうか、
彼氏来てんだ・・ごめんね】
彼氏か・・・
「そっかそっか・・ごめん。じゃあまたね」
【ほんとごめんね。花音】
「気にしないで・・じゃあ」
私は電話を切った。
にぎやかな廊下に出て、ひとりで歩いた。
みんな友達同士やカップルで歩いていて、
楽しそうに見えた。
別に・・ひとりでも全然いいし・・
私はどこの教室に入るわけでもなく、
ただ、廊下を歩いていた。
階段を下りてまた
廊下を歩いて・・・
どんどん人が通り過ぎていく。
どんどん人が追い抜いていく。
私・・・ひとりなんだ・・・
私は立ち止まった。
1階の廊下。
窓から外の中庭を見ると、
背の高い男子と、
背の高い女子が、
向き合って立っていた。
なんか、絵になる。
そう感じた。
ふと男子がこっちを向いて、
目が合ってしまった。
・・・拓人・・・
私は慌てて窓際から離れて、
人ごみの中、行き先も考えずに、
廊下を走り出した。