「1/4の奇跡」左側の君に【完】
その日の放課後、
声をかけようと思ったら、
「ちょっと残れ」
担任の先生が、拓人の席まできて、
周りには聞こえないように
拓人にだけ声をかけていた。
帰る準備をしていた拓人は、
またマフラーを外して椅子に座った。
担任は男バスの顧問だから、
部活のことで話があるのかもしれない・・・
そう思った。
「拓人・・一緒に帰れる?
廊下で待っていてもいい?」
座っている拓人の横に立って話しかけると、
拓人は少し考えて、
「下駄箱で待ってろ」
と、ちょっと不機嫌そうに答えた。
「わかった・・待ってるね」
私は詩織と莉子と一緒に下駄箱まで行き、
一人で拓人を待った。