『歩』〜人は愚か〜

災難は呪いのように

小学1年生の私はもちろん学童に入れられた

帰りは必ず夕方遅かった

いつものように夕方家に帰ると

玄関に居るはずの犬がいない事に気付く

「シロは?」と兄弟に聞く

誰も答えない

兄に聞きなおす。

でも、やはり答えない・・・


探しに家から出ようとしたした時

小さい姉ちゃんが言った

「私たちが食べるお金もないのに犬なんて飼えない」

と・・・




とうとう父の残したお金も底をついたのだとその時知った。

これから先私達はどうやって生きて行くのかなんて

この時の私は知る余地もなく

ただ私はシロを思って泣いていた

兄は寂しそうに犬小屋を見ていた事を今でもたまに夢に見る
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