『歩』〜人は愚か〜

母との別れ

まだまだ夏の暑さを残したまま9月が始まった

6年生の2学期はとても忙しい

すぐに運動会の練習が始まる

徒競走、組み体操・・・・でも一番はバトンの発表となる鼓笛隊と合同のパレードが私の中のメインだった。


必死にがんばった私は4人しか選ばれないループバトンになることに決まっていたから。

曲が決まり毎日毎日明けても暮れてもバトンの練習だった


でも、多分没頭することがあるってとても幸せなことだった

誰かに認めてもらいたいわけじゃない

私はがんばってる実感が欲しかった。


だから、長時間の練習もぜんぜん苦じゃなかった。


主役を演じるヒロインにでもなった感覚だった。


現実なんてどうでも良くてただ、必死に今バトンを回し踊るこれがその時の全てだったのが嬉しかった。


「がんばってるね」って言われて

素直に

「うん!」って答えたのこはこの時だけだったかもしれない。


純粋な子供の時間を過ごす唯一の時だった


4人の内の一番になるために必死に時間を過ごしていた


辛い事さえバトンに関しては幸せに思えた。

それが不思議でしょうがなかった
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