白と黒の神話
「たしかに普通じゃないわよね。自分が邪を祓える聖職者でも、あんな風にはつっかからないわね」

「あの馬鹿はアルディス姫のことが絡むと、見境がなくなるんですよ」


 自分の仕える王子を馬鹿扱いしているウィア。そんな彼の様子をミスティリーナはポカンとした顔でみているだけ。


「今回だって、私に内緒で動き始めたんです。あの真珠はご自分からの贈り物だったので、すっかりのぼせてしまったんです」

「そうなんだ……苦労してるんだ」


 彼の言葉から、カルロスに振り回されている日々であることを感じたミスティリーナ。思わず同情するような声がもれている。


「でも、これだけは知っておいてほしいのですが……」


 一気にそこまで喋ったウィアがフッと言葉を切っている。それにミスティリーナは首をかしげているが、ウィアはそれを気にしないかのように喋り続けている。
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