白と黒の神話
 ウィアの言葉にウィルヘルムは脂汗がますます酷くなっている。しかし、それをウィアは気になどしていなかった。


「今、私が言ったことを一族の者が喋ればどうなりますでしょうね」


 表情こそ笑っているが、言葉の内容は物騒極まりない。それがわかっているが、セシリアもカルロスも止めることはしようともしていない。


「こちらの王家の信用はがた落ちでしょうね。王女が行方不明になったのを秘密にしている。これは仕方がないと同情していただけるでしょうが、もう一つは無理でしょうね。その原因をつくった者が身近にいるということは……」

「わ、わかった! お前は何をしろというのだ」


 脅迫まがいのウィアの言葉に国王はすっかり音をあげていた。降参とばかりに手をヒラヒラさせている。


「セシリア殿がおっしゃったことの許可を。それさえ認めてくださるなら、黙っておりますよ」
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