白と黒の神話
「創世神様。どうか、この者たちにご慈悲を。これも彼らのうちにある感情でしょうが、これが人間の本質ではないのです。あなた様の大いなる自愛の御心をおみせくださいませ。心より伏してお願いいたします」


 首から下げているロザリオを繰りながら祈りの言葉を捧げているグラン・マ。そうやって進んでいる彼女の目の前から人々の影がなくなっている。そのかわりのように立っている影。


「やっぱり、お前だったね」


 その影が誰なのか、グラン・マにはよくわかっているのだろう。思わず憎々しげな響きがその口からもれていた。


「それはこちらのセリフだわ。本当によく生きていたこと。てっきり、どこかで野垂れ死にしていると思っていたのに」


 そう言うなり高笑いをする相手。ウェーブのきいた黒髪、黒い瞳、身体にピッタリとした黒のスリッドドレス。その相手はマレーネでしかありえない。彼女はグラン・マの顔をまっすぐにみたまま、これ以上の楽しみはないという表情も浮かべている。
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