白と黒の神話
「ええ、本当に大丈夫かと迷ったもの。でも、これでよかったの。これでアルディス様はご自分の好きな方と幸せになれる」


 そのセシリアの言葉にミスティリーナは思わず肩をすくめている。それならセシリア自身の気持ちはどうなるのだろうという思い。しかし、そんなことを気にしないようにセシリアは話し続けていた。


「私のことなら心配しないで。それよりも聖教皇様に馬車を用意していただかないと」

「素直にすると思う?」


 セシリアがさり気なく話題を変えたことに気がついてはいたが、ミスティリーナは気にしないことにしたようだった。そのかわりのように、ミスティリーナの顔にはセシリアが決めたことを手伝うだけという表情が浮かんでいる。そんな彼女に感謝したような表情をみせながら、セシリアはあっさりと物騒なことを口にしていた。


「出さないなら脅かすわ」


 ネタならあるだろうという顔でセシリアはミスティリーナをみている。


「エロ親父だもんね」


 聖教皇の知られざる癖を知ったミスティリーナは笑いながらうなずいているのだった。
< 268 / 314 >

この作品をシェア

pagetop